2020/06/08
2020年6月号 コロナ対応
ビジネス判断は各企業 カギは新しい働き方
これからのビジネスのスタイルは、ニューでいくのか、オールドでいくのか、両者を融合していくのか、それぞれの企業がそれぞれの戦略のなかで考えていく必要があります。

たとえば、大きなラインを使ってものをつくる製造業は、オールドに戻らざるを得なくなると思います。しかしソフトの割合が高い企業は、設備がそれほど大きくないので、各地に拠点を分散できるかもしれない。
実際、3Dプリンターを用いれば、製造業であっても拠点が集中している必要はありません。つくる製品によっては情報化が進み、場所に縛られない企業が出てくるでしょう。ただ、その場合に気を付けないといけないのはサイバーリスクとサボタージュ。分散するほど情報セキュリティーが難しく、働く現場のモニターも困難だからです。
拠点や現場が分散し、モニターが難しくなると、働き方としては、成果主義的な評価の傾向が短期的には強まります。従来の日本の人事評価は、お互いがよく見えていることが前提。みながいっしょに働いていたから、細かい評価ができました。
成果主義の場合、組織として生産性が上がったとしても、チームワークは評価できません。個人主義が進み、連帯や協力の余地は減ってしまうことが考えられます。逆にテレワークでも協力をうまく引き出した会社は、すごく成功するかもしれません。
テレワークの利点を利用した新しいチームワーク
テレワークの場合、チームの組み替えがしやすいという長所もあります。そのなかで誰と組むかを自分で選ばせるのがアメリカ流で、ウィンウィンになる相手としか組まないという短所はありますが、うまく使えばチームワークがすっかり弱くなるとは限りません。
チームワークを重視したい人は、自分と同じ価値観を持っている人を探し、自らチームをつくっていくことができます。その場合の人事評価も、日本は組織として公平な制度をつくろうと取り組むでしょう。成果主義を発展させ、日本流のやり方でチームや相性の良し悪しを調整するやり方が出てくる可能性も十分あります。
企業規模でみると、ニューノーマルに向けての投資は確かに中小企業が不利ですが、働き方に関してはそうとは限りません。ただしサプライチェーンマネジメントにおいては、大企業が中小企業のICT化を進めるようなプレッシャーをかける可能性があります。結果として、大企業による監視が強くなるかもしれません。
製造に関する大事なデータが監視の対象になると、中小企業は厳しいかもしれない。ノウハウがデータで逃げてしまえば、自分たちの強みを大手企業に全部握られてしまうことになります。(談)
2020年6月号 コロナ対応の他の記事
- 「ニューノーマル」に向かう企業のビジネスリスク
- 不気味な長野・岐阜県境の群発地震糸魚川静岡構造線断層帯との関連は?
おすすめ記事
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方