自主防災会には中学生と高校生による災害時生活援助隊「ジュニアレスキュー隊」がある。高層マンションというのは、大災害が起こったときには停電でエレベーターが動かなくなるため、高層難民が大勢発生する。そういう高層難民の世帯に生活物資を届ける役割を負っている。

また、全309世帯を11班の避難誘導班に区分している。居住者台帳という仕組みを2005年に作り、災害時要援護者情報は100%把握している。世帯別、個人別に生年月日、性別、血液型、既往症、常用薬、掛かりつけの医療機関と診療科目、担当医、自力避難に支障ある理由、帰宅困難者に該当するかどうか、帰宅困難になった場合の主な滞在地などを居住者が自己申告するシステムである。2015年2月現在で住民の96%がこの台帳を提出している。

ソフィアステイシアの地区防災計画の特徴は、当地で起こり得る固有の災害を具体的にイメージして作っている点である。自然防災だけではなく、発災直後の初動対応から応急対応、在宅避難生活の継続、そしてマンションの復旧・復興までを視野に入れた実践的な防災計画となっている。マンション管理規約集を全面改正して、災害即応型とした。また、意思決定・予算執行の権限を明確化した。というのは、管理組合理事長が外出先で被災して帰宅困難になってしまった場合、意思決定権限が発揮できない。当然、こういう大きな被害を受けた時には、管理組合の総会も自治会も開けない。そういうときにマンションの緊急復旧をやるときの意思決定の方法や予算執行、どういうことをやるかというのを、この管理規約集を改正して明確化している。

防災訓練は、毎年テーマを変え、具体的な災害が発生したら、どのような災害がマンションを襲い、どのような被害が発生する恐れがあるかということを具体的にシミュレーションした上で行われる。シミュレーションのシナリオは大体4カ月かけて準備する。負傷者の救助、初期消火、高層階への一斉避難、災害時要援護者の担架搬送、高層階バルコニーからのハシゴ車救助、避難ハッチの脱出訓練、AEDの応急救護などを実施する。

毎年、避難誘導班ごとに防災講習会もやっている。直近では「災害イマジネーショントレーニング」講習会を開いた。災害が起きた直後、大体10 秒~ 15秒間くらいのとっさの行動で、その人が死んでしまうか、生き延びることができるかが分かれてしまう。今回は、「ある日突然首都直下地震が発生した!」という想定で、その時に居た場所、その時の行動を前提として、災害で死なないためにはどう行動したらいいかということを具体的に訓練した。

『ソフィアステイシア危機管理マニュアル』はマンションの全世帯に配布し、毎年住民交流会のテキストとして使っている。危険予知と危機回避、被害の最小化の方法について具体的に記述している。