避難指示を受け取る側に立った情報提供のあり方
避難が必要な危険な状況と何をすべきか的確に伝えよ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
2018/09/18
安心、それが最大の敵だ
高崎 哲郎
1948年、栃木県生まれ、NHK政治記者などを経て帝京大学教授(マスコミ論、時事英語)となる。この間、自然災害(水害・土石流・津波など)のノンフィクションや人物評伝等を刊行、著作数は30冊にのぼる。うち3冊が英訳された。東工大、東北大などの非常勤講師を務め、明治期以降の優れた土木技師の人生哲学を講義し、各地で講演を行う。現在は著述に専念。
毎年のように日本列島を襲う水害・土石流・地震などの災害時における避難勧告や避難指示のあり方がクローズアップされている。災害時に、地元自治体などが発する勧告・指示が地域住民に適切に(タイムリーに)伝わっているのか、疑問視する声も聴く。同時に、勧告・指示を受けた地元住民が避難しようとしない「勧告無視・避難拒否」も重大な社会問題になっている。
平成29年(2017)1月、内閣府(防災担当)が改定した「避難勧告等に関するガイドライン(避難行動・情報伝達編)」には過去の反省や今日的課題に立った重要な指摘が数多く興味をそそられる。同ガイドラインの主要な(災害時に役に立つ)指摘を適宜引用してみよう。
地元自治体(市町村)は、居住者・施設管理者等が過去の被災実績に捉われず、これまでにない災害リスクにも対応できるよう、平時から居住者・施設管理者等に対して災害リスク情報や、災害時に対象者がとるべき避難行動、避難勧告等の発令単位となる地区名について、その考え方も含めて説明を徹底すべきである。
特に、避難行動に関しては、(1)避難勧告等が発令された段階で指定緊急避難場所へ立退き避難すること等のとるべき避難行動をあらかじめ考えておくことや(2)災害時には状況に応じて「近隣の安全な場所」への立退き避難、「屋内安全確保」といった臨機応変な避難行動をとらなければならない場合があることを十分に周知するとともに(3)居住者等が最終的に避難行動を判断しなければならないということを確実に伝えるべきである。
地方自治体(市町村)は、居住者・施設管理者等が避難行動を判断する際に参考となる各種の防災関連情報を入手しやすくするための環境整備を進めるとともに、居住者・施設管理者等に対して、防災関連情報の入手手段や活用方法等について平時から周知しておくべきである。
居住者・施設管理者等への防災知識の継続的な普及を図るため、映像等を用いたわかりやすい資料により、児童を含めた防災教育を積極的に進めることが望ましい。
自治体は災害種別毎にハザードマップを作成し、居住者・施設管理者等への配布や広報に努めているが、様々な災害が想定されること、災害発生時に使われる形で保管されていない等から、実際の避難行動に十分役立っていない可能性がある。
避難勧告等が発令された場合、居住者等が短時間のうちに適切な避難行動をとるためには、自分の身は自分で守るという意識の下、居住者等が、あらかじめ想定される災害毎にどのような避難行動をとれば良いか、立退き避難をする場合にどこに行けば良いか、避難に際してどのような情報に着目すれば良いか等をあらかじめ認識し、居住者等が主体的に具体的な避難に関する計画を検討しておく必要がある。
施設管理者等においては、利用者の避難誘導等を適切に実施する必要があることから、災害毎に利用者がとるべき避難行動、避難先、避難に際して着目すべき情報等をあらかじめ認識し、平時から具体的な災害計画を策定し、訓練を実施しておく必要がある。
そのためには、居住者・施設管理者等が、想定される災害毎に、それぞれ避難すべき施設や避難に際して確認すべき防災情報など、避難に当たりあらかじめ把握しておくべき情報を記載する「災害・避難カード」を作成することが望ましい。
災害避難カードにより、災害種別毎に作成されているハザードマップ等の情報を基にして、各家庭や各施設において、災害種別毎にどう行動するのかを確認し、災害時は、自らWeb 上の防災情報や、市町村長が発する避難勧告等の情報を判断材料として、悩むことなく、あらかじめ定めた避難行動をとることができるようにしておく必要がある。
台風による大雨発生等、事前に予測が可能な場合において、災害発生の危険性が高まった場合には、災害の危険が去るまでの間、避難勧告等の発令の今後の見通し、発令時に対象者がとるべき避難行動等について、時々刻々と変化する状況を居住者・施設管理者等に対して繰り返しわかりやすい言葉で伝達することが望ましい。特に、以下について徹底を図ることが望ましい。
・気象警報等、土砂災害警戒情報、指定河川洪水予報、土砂災害警戒判定メッシュ情報などの防災気象情報等を収集し、その時点の状況や避難勧告等の発令の見通し等居住者・施設管理者等に対して早い段階から確実な情報提供を行うこと
・ 避難場所については、避難勧告等発令時に円滑に避難できるよう、事前に居住者・施設管理者等に周知すること
・ 避難勧告等の発令時に、その対象者を明確にするとともに、対象者ごとにとるべき具体的な避難行動を、災害発生前から周知すること
また、市町村は、川の映像情報の提供等、居住者・施設管理者等が避難しなければらないと思うような情報提供を実施することが望ましい。加えて、市町村は、お互いに避難行動を呼19びかける地域での声かけがなされやすいような環境整備を進めることが望ましい。
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