2020/03/11
福祉と防災

Q.被災者支援事業の効果、ポイントは?
【高橋氏への聞き取り】
[鍵屋コメント]
大震災後の復旧・復興事業で膨大な業務量を抱える中、気仙沼市は先駆的メニューを実施して、孤立死を防いできた。「おせっかいな相談員」による熱心な訪問が重要なのだ。被災者支援は、数字に表れないこのような対人支援の能力が大切だと改めて感じる。
一方で、国のやるべきことは高齢者の社会参加を目的とした集いの場(お茶っこ会)ではなく、フレイル予防をするための科学的根拠を明確にすること、それにより自治体が効果的な施策を進めやすくすることではないかと鋭く問いかけている。
Q.より効果的にするにはどうすればよいか?
【高橋氏への聞き取り】
[鍵屋コメント]
先進的に取り組んできた被災自治体の取り組みをパッケージ化、標準化して、次の災害ですぐに被災者支援に取り掛かることが重要だ。これは国の重要な責務ではないだろうか。
Q.課題は何か?
【高橋氏への聞き取り】
[鍵屋コメント]
気仙沼市でも、社会福祉協議会はボランティアセンターの運営だけで手一杯であり、他の日常業務が滞っている。そこに、地域支えあいセンターの運営まで任されると、間違いなく業務過多となる。連載第8回でも述べたが、ボランティアセンター運営業務の多くは、ボランティア団体に任せて、社会福祉協議会は地域福祉に注力するのが望ましい。
また災害後、要介護者が避難所や避難生活になると、ディサービスやコミュニティで活動する機会が少なくなり、介護度が高くなりがちである。直感的には、しっかりした被災者支援事業が、介護の重度化を予防し、介護保険給付増加の歯止めになると思われるが、自治体予算を使う以上、科学的根拠が欲しいところだ。
資料:「支え手になったあの日から‐地域を見守る支援員の語り 東北学院大学社会学研究室生活支援員聞き書きプロジェクト」2018年、発行者 宮城県サポートセンター支援事務所(宮城県社会福祉士会)
福祉と防災の他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方