2020/03/09
DX時代のデジタルリスク
変容するリスク
RSAが独自に行った調査では、DXの取り組みが多くの組織で進められる中で、リスクプロファイル(リスクの種類や数など)が変化していると認識されており、全体的に新しいリスクが生まれている、あるいはリスクの数が増えていると答える組織が多数を占めることが分かっています。

過去2年間と今後2年間で、予想されるリスクプロファイルの変化について、リスクプロファイルに新しいリスクや既に認識されているリスクが「大幅に拡大する」という組織が増加傾向にあるのに対して、「多少拡大する」という組織が減少傾向にあります。これは、「多少拡大する」と考えていた組織が「大幅に拡大する」へ移ったと考えられ、DXによってリスクは拡大傾向にあると捉えられます。
では、このデジタルリスクを組織が具体的に何と認識しているのか、一つのデータを見ていきます。

組織が考えるデジタルリスクについて尋ねたところ、「特定のテクノロジーに関わるリスク」という回答が最も多いという結果が出ています。特定のテクノロジーとは、クラウド、人工知能、IoTの利用などです。それ以外に目立つのは、サイバー攻撃によるサービスのダウンや、組織のブランドが傷つくなどの風評リスクも含んだ、サイバーセキュリティリスクです。組織内に攻撃者が侵入して、デジタル資産を窃取したり、データを人質にして金銭を要求したりといった事件が、日本でも増加の傾向にあります。2番目に書かれている「DXで組織が直面する新たなリスクまたは増大するリスク」というのは、広義のデジタルリスクで、サプライチェーン(取引先)との情報のやり取りに関するリスクやコンプライアンスに関するリスク、あるいは、昨今話題のレジリエンス(*)に対するリスクなどを含んでいます。
(*)組織がサイバー攻撃などで事業停止に陥らないように、あらかじめそのリスクを管理して、事業へのインパクトをできるだけ小さくするよう対策しておくこと。ここでは特に、DXにおいて生じるリスクに対するレジリエンスを指します。
- keyword
- デジタルトランスフォーメーション
- デジタルリスク
DX時代のデジタルリスクの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方