新型コロナウイルス:企業が考えるべき対策

中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
2020/01/21
WITHコロナのBCP
中澤 幸介
平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト「平成25年度事業継続マネジメントを 通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務」アドバイザー、「平成26年度地区防災計画アドバイ ザリーボード」。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」がある。
中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。WHO西太平洋地域事務所(マニラ)も21日、ついにツイッターで「持続的な人から人への感染があるとみられる」と発表した。日本でも感染者が発生しており、東京2020大会を間近に控えて、今後さらなる感染拡大も懸念される。企業が今考えておくべき対策をまとめた。
① 感染地域や、感染拡大など情報収集
・外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2020C013.html
・同【感染症危険情報】中国における新型コロナウイルスの発生
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2020T011.html
・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
・国立感染省研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus.html
・CDC アメリカ疾病予防管理センター(英語)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/summary.html
・WHO 世界保健機関(英語)
https://www.who.int/health-topics/coronavirus
・その他、信頼できるメディア
② 従業員への注意喚起・教育
・特に海外(武漢など)への渡航者、海外(武漢など)現地従業員
感染予防、感染時の対応(下記参照)
・海外ではあらかじめ受診医療機関なども検討
・不要不急の外出自粛
・在宅勤務の検討
③ 海外出張(武漢など)の自粛・禁止、駐在員の帰国、などの検討
④ 感染予防の徹底(手洗い、マスク着用)
⑤ 感染疑い者が出た場合の対応の検討
・武漢市から帰国し、咳や発熱等の症状がある場合には、必ずマスクなどを着用し、事前に医療機関に連絡したうえで受診。武漢市の滞在歴があることを申告
・会社への報告ルール
・風評対策、広報対応、など
⑥ 感染者が出た場合の対応の検討
・顧客が感染した(していた)場合の対応:感染拡大の防止(濃厚接触者への対応)、事業継続、風評対策、メディア対応
・社員が感染した場合の対応:感染拡大の防止(濃厚接触者への対応)、事業継続、風評対策、メディア対応
・社員の家族が感染した場合の対応:報告や自宅待機のルール化(その際の給与支払い)、など
⑦BCPの検証・見直し
・現状のBCPが感染症で機能するかの検証、訓練・演習
・ディスコの感染症対策
https://www.risktaisaku.com/articles/-/5208
・手洗いの基礎 アルコール洗浄だけでいいと思っていませんか?
https://www.risktaisaku.com/articles/-/540
・感染爆発との闘い(2009年5月号※会員のみ)
https://www.risktaisaku.com/ud/backnumber?page=4
2009年の新型インフルエンザの流行時には、毎日のように状況が変化し、感染力やウイルスの毒性についても判明するまでに時間を要し、多くの企業が対応に苦慮した。当初はマスクや消毒液も売り切れ手に入らない状況になった。
あらかじめ計画を策定しておいて状況に応じて書き換えるのと、新たに計画を作るのでは全く労力が異なる。今の段階から計画の策定や備蓄、訓練など、できる対策は進めておくことが重要だ。また、今後ウイルスが変化することなども考えられるため、固定した計画を作るのではなく、まずは社員一人一人の感染予防を徹底するとともに、健康への影響が著しく大きい場合、それほどでもない場合など幅を持たせた対策を考えておくことも大切だ。
2020年1月21日現在まとめ
(了)
WITHコロナのBCP の他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方