手持ちの飲み物を常温で入れる

私が行った実験は、カップ麺にいろいろ手持ちの飲み物を室温で注ぎ入れ、麺が柔らかくなったら食べるということです。東京からやってきた小学生と一緒に行いましたが大変面白いものでした。この結果を紹介してみましょう。

おそらく、これまで述べた小学校の子どもの家では、すぐさま応用できると考えられます。つまり災害時にどっさりカップ麺を家に備蓄していて、それを戻すための飲み物がいろいろあるということですから、まさに実験条件がぴったりです。

【実験】カップ麺をいろいろな飲み物を使って室温で30分間戻す 

カップヌードル(日清食品株式会社)77グラム(麺と具)に飲料水300ミリリットル(カップに示された量)を加え30分間室温(26℃)で放置したものAと、熱した飲料水を同じ量加えて3分間同じ室温で放置したものをBとし、さまざまな飲み物をカップヌードルに加えてA,Bを基準に、麺と汁の官能評価を筆者(関西在住)が行い、他1名(関東在住)が確認する方法にしました。

飲み物は、日ごろ身近に飲まれている茶飲料(4種)、炭酸飲料(4種)乳酸飲料(1種)野菜ジュース(1種)アクエリアス、比較対照の水(A)の計12種類。飲み物(28.4℃)をカップ麺に加えて30分間室温26℃で放置して戻しました。

■不適合な飲み物

口に含んで「甘みがある、甘すぎる」ものは麺に甘みが浸み込み、麺、汁ともに甘いため、官能評価(色、味、香り、口当たりなどの総合評価)は不適当でした(×印)。

■飲み物の匂いが強い場合

麺と汁は複雑な匂いと味わいがして好まれませんでした(×印)。

■30分間放置後吸収されずに残った汁の量

「熱水」は25ミリリットル、「水」は102ミリリットルで、熱水の場合は急速に麺に吸収されて残量が少ないことが分かります。室温では吸水が遅く熱水の10倍(30分間)の時間が掛かり、なおかつ残水量が約5倍も多いです。しかし、これはこれでおいしく食べることができ、冷麺の感触でさっぱり感があるのは、吸水がゆっくり進行したためであると考えました。他の飲み物の残水量は茶類、ぐんぐんグルト、アクエリアスは約100ミリリットルで水と似ていました。その他の炭酸飲料は残った汁の量が少なかったのですが、おそらく炭酸の泡の作用で汁の吸収が早かったのではないかと推察しました。