2019/03/14
寄稿
リカバリプランも必要
昨今データ保護に関して企業が抱える課題の主な要因は、下記の3つになります。
1. 致命的な威力を持つサイバー犯罪:サイバー攻撃はより複雑化し、かつ組織化が進行し、その手口は巧妙化しています。オーストラリアの個人情報保護機関のレポートによると、2018年4月1日~6月30日の間に、オーストラリアの組織は 242回のデータ漏えいを報告しています。そのうち59%が悪意のある攻撃もしくは犯罪攻撃の結果になります。
2. 散在したデータ:業務ではデータを保存する場所が複数あります。個人にとっても同じです。保護するのを困難にしています。多くの企業がインフラストラクチャのモダナイズ化ならびにクラウドの活用を目指しているため、状況は悪くなる一方です。
3. データの爆発的な増加:2010~20年までで、50倍に増加します。さらにデータの7割はセカンダリデータであり、多くのビジネスがプライマリや生データの保護のみに投資しています。大容量になると同時に、何のデータがどこにあるのか分からないため、多くの企業は苦労しています。
何よりもまず、サイバーセキュリティ対策の一環としてデータ保護を行っていなければ、すぐに対応すべきです。データ漏えいリスクや損害は内部、外部、マルウェア、システム欠陥、人的ミス、災害など様々な要因で発生します。そのようなリスクに対して企業はデータの管理とリカバリのプランが必要です。
とはいっても、我々が認識していないデータを保護することは不可能です。もはやデータは自社内だけに存在しなくなり、クラウド、アプリケーション、その他のサードパーティ ベンダーの配下にある場合もあります。残念ながら、多くの企業では、これらのサードパーティベンダーがデータを保護する責任をもっていると思い込んでいます。またデータをクラウドに移行すると、高度なセキュリティが提供されるという誤解があります。企業は、データがどこにあるかに関わらず、データを保護する責任があるのです。
データ保護に付随する課題が何であれ、データ管理のベストプラクティスは以下の3つの原則に当てはまります。
2. データの保護方法を理解する。どの方法が会社にとって、安全で価値を担保できるものなのか。お客様や顧客データを保持するためにどのようなセキュリティ プランが必要なのか。また、このプランは個人情報保護法や GDPR などの国際的な規制に準拠しているかを理解し必要な対応を施すことが重要である。
3. 企業価値創出のためにデータが利用されていること。企業はより多くの情報に基づいた決定をするためにどのようにデータを活用しているのか。その結果、企業の広告や顧客サービスへの貢献に繋げることが重要である。
このような基本的な原則に沿って、包括的なデータ保護・管理を実施している企業が増えています。
データ活用に取り組むために組織は新しいテクノロジー、シンプルかつ強力なプラットフォーム ベースのアプローチを求めています。データ保護を可能にしながら、データがビジネス上での意思決定やプロセスへのカタリストとなることが重要なのです。
(了)
- keyword
- サイバーセキュリティ
- データ
寄稿の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方