2012/10/02
防災・危機管理ニュース
Jアラート全国一斉訓練の結果
消防庁は9月28日、全国瞬時警報システム「Jアラート」について、同月12日に行った全国一斉自動放送訓練の結果を発表した。訓練は、内閣官房、消防庁および地方公共団体が連携して計2回(事前音声書換方式と即時音声合成方式)実施。Jアラート受信機を運用するすべての市町村(1724市町村)が参加した。その結果、都道府県別に、1回目、2回目の訓練でそれぞれ不具合が生じた市町村がなかったのは岩手県、栃木県、岡山県、大分県の4県にとどまり、鳥取県(53%)、和歌山県(52%)、宮崎県(50%)では、1回目、2回目を合わせて50%以上の不具合が発生するなど、都道府県によって差が顕著に表れた。全体では、予定通りに放送がなされ正常であることが確認された市町村は1443市町村(83.7%)で、何らかの不具合が見られた市町村は282市町村(16.3%)となった。
Jアラートは事前音声書換方式と即時音声合成方式の2方式があり、前者は、官邸で事前に想定される事態に応じて作成した伝達内容(音声ファイル)を受信機にあらかじめ登録し、事案が発生した際に官邸から起動指示を送信して、防災情報システムから放送するというもの。後者は、官邸で事態に応じて作成した伝達内容(文字データ)を送信し、受信機で音声を合成して、直ちに防災情報システムから放送するというもの。消防庁によると、すべての受信機は両方が対応できるようになっているという。
【Jアラートで配信される情報】
不具合が見られた市町村数は、1回目の訓練で125市町村、2回目の訓練で255市町村で、1回目に比べて2回目の訓練において多くの不具合が見られた。
主な不具合の理由としては、1回目は「自動起動機のプログラムのミス」が最多。以下、「本体の故障や調整ミス」「放送地域などの設定ミス」が続いた。2回目では「自動起動機設置時のFTP通信の設定誤り」が突出して多く、原因として特定メーカーの自動起動機設置時のFTP通信の設定に誤りがあったことがわかった。以下、「自動起動機のプログラムのミス」「放送地域などの設定ミス」の順となっている。
今回の訓練においては、市民への情報伝達手段の起動訓練まで行ったのが1255市町村あり、その大半の1074市町村が防災行政無線(同報系)を、219市町村が音声告知端末を、147市町村が登録制メールを実際に起動するなど、Jアラートとの連動性を確認した。一方で、起動訓練を実施せず、手順などの確認にとどまった市町村は470あり、消防庁では、情報伝達手段の起動訓練を実施する市町村が一層増加するよう取り組みを促進する必要があるとしている。
今後、消防庁では、地方公共団体における点検を徹底させるとともに、自動起動機のメーカーを含め、早急に訓練であきらかとなった不具合の改善を図る予定。また、10月31日、11月21日および12月12日の3回に分けて、再訓練を順次実施するとしている。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方