Jアラート全国一斉訓練の結果

消防庁は9月28日、全国瞬時警報システム「Jアラート」について、同月12日に行った全国一斉自動放送訓練の結果を発表した。訓練は、内閣官房、消防庁および地方公共団体が連携して計2回(事前音声書換方式と即時音声合成方式)実施。Jアラート受信機を運用するすべての市町村(1724市町村)が参加した。その結果、都道府県別に、1回目、2回目の訓練でそれぞれ不具合が生じた市町村がなかったのは岩手県、栃木県、岡山県、大分県の4県にとどまり、鳥取県(53%)、和歌山県(52%)、宮崎県(50%)では、1回目、2回目を合わせて50%以上の不具合が発生するなど、都道府県によって差が顕著に表れた。全体では、予定通りに放送がなされ正常であることが確認された市町村は1443市町村(83.7%)で、何らかの不具合が見られた市町村は282市町村(16.3%)となった。

Jアラートは事前音声書換方式と即時音声合成方式の2方式があり、前者は、官邸で事前に想定される事態に応じて作成した伝達内容(音声ファイル)を受信機にあらかじめ登録し、事案が発生した際に官邸から起動指示を送信して、防災情報システムから放送するというもの。後者は、官邸で事態に応じて作成した伝達内容(文字データ)を送信し、受信機で音声を合成して、直ちに防災情報システムから放送するというもの。消防庁によると、すべての受信機は両方が対応できるようになっているという。

【Jアラートで配信される情報】
 
不具合が見られた市町村数は、1回目の訓練で125市町村、2回目の訓練で255市町村で、1回目に比べて2回目の訓練において多くの不具合が見られた。
主な不具合の理由としては、1回目は「自動起動機のプログラムのミス」が最多。以下、「本体の故障や調整ミス」「放送地域などの設定ミス」が続いた。2回目では「自動起動機設置時のFTP通信の設定誤り」が突出して多く、原因として特定メーカーの自動起動機設置時のFTP通信の設定に誤りがあったことがわかった。以下、「自動起動機のプログラムのミス」「放送地域などの設定ミス」の順となっている。

今回の訓練においては、市民への情報伝達手段の起動訓練まで行ったのが1255市町村あり、その大半の1074市町村が防災行政無線(同報系)を、219市町村が音声告知端末を、147市町村が登録制メールを実際に起動するなど、Jアラートとの連動性を確認した。一方で、起動訓練を実施せず、手順などの確認にとどまった市町村は470あり、消防庁では、情報伝達手段の起動訓練を実施する市町村が一層増加するよう取り組みを促進する必要があるとしている。


今後、消防庁では、地方公共団体における点検を徹底させるとともに、自動起動機のメーカーを含め、早急に訓練であきらかとなった不具合の改善を図る予定。また、10月31日、11月21日および12月12日の3回に分けて、再訓練を順次実施するとしている。