2019/02/12
本気で実践する災害食
整理ダンスで主食とおかず、おやつを分けて収納
これまで、企業を主に見てきましたが、次に家庭はどうすればいいのか、考えてみましょう。
災害時に備えて―食べ物と飲み物の備蓄はどうするの?
これは私の提案です。こうしてみてはどうでしょう。洗濯物を取り込んだ時のように全体をまとめて置かないことです。
食品ごとにグループ分けして備蓄することを勧めます。たとえば整理ダンスをごらんなさい。靴下、下着、セーター、ズボン、シャツなど小分けして入れているでしょう。すると、取り出すとき便利で足りないものがひと目でわかります。
備蓄も同じことです。ではどのように小分けしますか。身体の健康にとつて欠かせないものを考えましょう。その1つずつにスペースをつくります。いわゆる優先座席です。さあ、なんでしょうか?
まず、「腹が減ると困るもの」はなんでしょう?主食と呼ばれているものです。
災害時は力仕事が待っています。「困難に遭遇したとき、お腹などすかないでしょ!」という人もいますが、やがてお腹はすきます。いわゆるご飯、おかゆ、パン、ビスケットの類です。
つぎは、おかずで2種類です。熊本地震で福祉施設を調査したとき、「おかずが要るとは考えてもみなかった」という回答がありました。冗談を言っているとしか思えません。おかずは魚・肉の缶詰が多いのはわかりますが、これは主にたんぱく質ですよね。もう一つ大切なおかずがあります。それは野菜(いも)などです。これも上記と同様に福祉施設の回答に「野菜は畑にある」というのがあり、あ然としました。確かに!ごもっとも!しかし、洗う水がないので、無理です。放射能汚染、火山の噴火も視野に入れたいものです。要するに野菜のおかずとして、缶詰やレトルト食品が必要です。食物繊維やビタミン、ミネラルをとるためです。
4つ目はおやつです。実は買い置きのおやつで空腹をしのいだ被災者が多いのです。1995年の阪神・淡路大震災の時、西宮市消防職員を調査した結果では「一番ものを食べた気がしたのは救急車においていたあめだった」という。おやつは封を切るとすぐ食べられるのでありがたいです。心が傷ついたとき、癒してくれるのは食べ物と飲み物です。好きな音楽も風呂もないそっけない痛々しい日々ですから。
5つ目は飲み物です。あなたは日頃何を飲んでいますか。好物の飲み物を備蓄しましょう。冷蔵庫に入れたいが、無理です。一塊にしておきましょう。あれもこれも欲張って…。
6つ目ですが、私はなぜかときどきお腹が痛くなるので、すりつぶした果物や野菜の災害食を備蓄しています。名付けて「お・ら・が・治療食」です。これは補欠のようですが、一番大事かもしれません。なぜならストレスに襲われるとすぐお腹が痛くなるからです。

ご参考になりましたでしょうか。えっ?ご質問ですか。「家族の分はどうしましょうか」。ご家族が多い場合、各自の部屋に分けて置いてもいいですね。そのときは、各自好みのものを選ぶとご機嫌でしょうね。
ほかにご質問は?「もし会社に滞在中帰宅が難しくなったときや夜も災害の後片付けで居残るときの食事はどうしたらいいでしょうか」そうですね。いい質問ですね。
コミーの現在のしくみでは、個人用非常持ち出し袋を各自会社に持参して、自分の身の周りに置いておくという方法が確実です。まかり間違っても、お米など煮炊きの必要な食品は持参しないようにしましょう。家庭の備蓄品を一部選んで自分用として持参しておくといいでしょう。
今回は、企業と家庭の平時の備蓄について考えてみました。

(了)
おすすめ記事
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方