整理ダンスで主食とおかず、おやつを分けて収納

これまで、企業を主に見てきましたが、次に家庭はどうすればいいのか、考えてみましょう。

災害時に備えて―食べ物と飲み物の備蓄はどうするの?

これは私の提案です。こうしてみてはどうでしょう。洗濯物を取り込んだ時のように全体をまとめて置かないことです。

食品ごとにグループ分けして備蓄することを勧めます。たとえば整理ダンスをごらんなさい。靴下、下着、セーター、ズボン、シャツなど小分けして入れているでしょう。すると、取り出すとき便利で足りないものがひと目でわかります。

備蓄も同じことです。ではどのように小分けしますか。身体の健康にとつて欠かせないものを考えましょう。その1つずつにスペースをつくります。いわゆる優先座席です。さあ、なんでしょうか?

まず、「腹が減ると困るもの」はなんでしょう?主食と呼ばれているものです。

災害時は力仕事が待っています。「困難に遭遇したとき、お腹などすかないでしょ!」という人もいますが、やがてお腹はすきます。いわゆるご飯、おかゆ、パン、ビスケットの類です。

つぎは、おかずで2種類です。熊本地震で福祉施設を調査したとき、「おかずが要るとは考えてもみなかった」という回答がありました。冗談を言っているとしか思えません。おかずは魚・肉の缶詰が多いのはわかりますが、これは主にたんぱく質ですよね。もう一つ大切なおかずがあります。それは野菜(いも)などです。これも上記と同様に福祉施設の回答に「野菜は畑にある」というのがあり、あ然としました。確かに!ごもっとも!しかし、洗う水がないので、無理です。放射能汚染、火山の噴火も視野に入れたいものです。要するに野菜のおかずとして、缶詰やレトルト食品が必要です。食物繊維やビタミン、ミネラルをとるためです。

4つ目はおやつです。実は買い置きのおやつで空腹をしのいだ被災者が多いのです。1995年の阪神・淡路大震災の時、西宮市消防職員を調査した結果では「一番ものを食べた気がしたのは救急車においていたあめだった」という。おやつは封を切るとすぐ食べられるのでありがたいです。心が傷ついたとき、癒してくれるのは食べ物と飲み物です。好きな音楽も風呂もないそっけない痛々しい日々ですから。

5つ目は飲み物です。あなたは日頃何を飲んでいますか。好物の飲み物を備蓄しましょう。冷蔵庫に入れたいが、無理です。一塊にしておきましょう。あれもこれも欲張って…。

6つ目ですが、私はなぜかときどきお腹が痛くなるので、すりつぶした果物や野菜の災害食を備蓄しています。名付けてお・ら・が・治療食」です。これは補欠のようですが、一番大事かもしれません。なぜならストレスに襲われるとすぐお腹が痛くなるからです。

衣服のように物品ごとに分けて収納するといざという時に役立つ(出典:写真AC)

ご参考になりましたでしょうか。えっ?ご質問ですか。「家族の分はどうしましょうか」。ご家族が多い場合、各自の部屋に分けて置いてもいいですね。そのときは、各自好みのものを選ぶとご機嫌でしょうね。

ほかにご質問は?「もし会社に滞在中帰宅が難しくなったときや夜も災害の後片付けで居残るときの食事はどうしたらいいでしょうか」そうですね。いい質問ですね。

コミーの現在のしくみでは、個人用非常持ち出し袋を各自会社に持参して、自分の身の周りに置いておくという方法が確実です。まかり間違っても、お米など煮炊きの必要な食品は持参しないようにしましょう。家庭の備蓄品を一部選んで自分用として持参しておくといいでしょう。

今回は、企業と家庭の平時の備蓄について考えてみました。

今回のテーマの位置づけ

(了)