環境省 大臣官房
環境保健部
環境安全課

熱中症による救急搬送は毎年4〜7万人前後で推移

気候変動などの影響によって、熱中症は年々被害が増えています。

日本における年間平均気温は、100年あたり1.30℃の割合で上昇しており、1898年の統計開始、直近4年が最も平均気温が高くなっています。

熱中症による被害状況を見てみますと、2021年は自然災害で死亡された方が186人であったのに対し、熱中症で死亡された方は755人でした。熱中症によって緊急搬送された方はさらに多く、毎年4万人から7万人前後で推移しています。また、熱中症で死亡される方の割合を見てみると、8割以上が65歳以上の高齢者が占めており、また、屋内で亡くなられた方のうち、9割はエアコンを使用していない、またはそもそもエアコンを所有していなかったことが明らかになっています。

こうした状況を踏まえ、熱中症の被害を防ぐためには、高齢者等の熱中症弱者への対策を進めるとともに、今後起こり得る極端な高温も見据えた対策が重要です。

海外では、極端な高温によって甚大な健康被害が出ている

海外でも、熱中症に関する大きな被害が出ています。2021年6月には、カナダのブリティッシュコロンビア州で熱波が発生し、わずか1週間の間に600人以上の方が亡くなっています。ブリティッシュコロンビア州は北海道の宗谷岬よりも北に位置しており、6月の平均最高気温は24.3℃であるにもかかわらず、熱波が到来した時には、最高気温49.6℃を記録しました。また、2022年の夏には、イギリスやスペイン、フランスやドイツなど、欧州において広域で熱波が発生し、各国で数千人の死亡者が出ています。

海外における熱波の状況から、我が国の熱中症対策における課題は以下の3点です。

・熱波は高緯度の地域でも発生する可能性があるため、寒冷地を含めた全ての自治体において対策が必要。
・広域的に発生する可能性があるため、国や他の自治体による支援には限界があり、各自治体における健康危機管理体制の強化が必要。
・短期集中的に甚大な被害が発生する可能性があることから、救急医療などがキャパオーバーにならないよう、熱中症の発生予防にも力を入れる必要。