社有車の事故低減効果を実感 運転の安全性向上に 1086台、
約 92%の社有車に日本ユニシスの無事故プログラム DR®を導入
ポラス株式会社が交通事故防止を目的に日本ユニシス株式会社の無事故プログラムDR®の導入を開始したのが2016年度。同社・総務部サービス課主任の青池洋司氏は「追突のような重大な事故が大幅に減りました」とその効果を話す。ドライブレコーダーを中心にした、運転を見守りながら円滑な車両管理を実現するシステムで、有効性の実感と共に導入は増え翌年度末には900台を超えていた。現在までに社有車の1086台、92%以上に無事故プログラムDR®が搭載されている。同社で無事故プログラムDR®が導入されていない車両は、過去に事故を起こしていない部門に限られるという。
1000台を超える社有車に搭載されているドライブレコーダー
「創業者がバナナの引き売りから商売をはじめました。自宅を購入するときに抵当権がついたままの物件や道路や水道のない土地を平然と売りつけようとするなど数々のひどい不動産業者を目の当たりにし、自分がユーザーの代表となって役に立とうと不動産業をはじめたのが当社のルーツです」と青池氏がユニークな歴史を説明する。ポラスグループは埼玉県、千葉県、東京都を中心に戸建、分譲住宅や注文住宅など住宅に関する事業を幅広く展開している。大きな特徴は土地の購入からアフターメンテナンスまでのサービスをポラスグループで一貫して提供しているところだ。
同社ではお客様への責任を果たすために、事業を展開する地域を事業所から手の届く、つまり地域密着できる範囲に限定している。現在ではグループ26社に約4500人の従業員が働く。入居者からの紹介が全契約の30%を超えるほどで、お客様からの信頼も厚い。2020年3月決算でグループ売上高は過去最高で2256億円を超えた。
危険運転を察知し、
リアルタイムで管理者へ通知
お客様への現地案内から建築のために現場へ向かうとき、アフターサービスで訪ねるときなど責任を持った一貫したサービスのために社有車が欠かせない同社で無事故プログラムDR®を導入したのは、安全性向上の指導をする際の根拠として実際の運転の様子を確認する必要性が高まったからだ。
アフターサービスも含めて社有車での移動が欠かせない
運転管理で特に注意を払っているのが無事故プログラムDR®で送付される急ブレーキの危険運転報告だという。青池氏は「急ブレーキが最も事故に直結するため、メールで報告が来るとまず動画を見ます。本当に危険な運転だったのかを確認し、一歩間違えれば事故につながりうる”ヒヤリ”運転を抽出します」と説明する。
無事故プログラムDR®は急ブレーキや急発進、急ハンドルなどの危険運転を感知すると前後の静止画を自動で管理者に送信し、リアルタイムで管理者へ危険運転の発生を知らせる。危険運転の発生日時や種類、場所などが確認でき、運行経路や運行日報、個人やグループでの運転データ分析が自動で作成されるシステムになっている。
「動画を確認した後には運転者のマネージャーと安全運転管理者、KYTトレーナーに個別の指導を要請します」
グループ26社の運転を管理、
安全強化対策を展開
ポラスグループでは、ポラス株式会社の総務部サービス課がグループの安全を統括し、各グループ会社の部門責任者であるシニアマネージャーが安全運転管理者を務める。KYTトレーナーとは現場で安全強化対策を展開する担当者で、危険予知訓練(Kiken Yochi Training)の頭文字がその名前の由来だ。サービス課→安全運転管理者→KYTトレーナーの階層構造でグループ26社を管理している。
さらに「危険挙動のデータから各ドライバーの運転傾向を割り出し、個別に指導することもあります。たとえば100キロメートルあたりの危険挙動が多いドライバーへ注意喚起がそれに当たります」と青池氏は説明する。
一般的に社用車へのカメラの設置に抵抗感を示す社員は少なくない。ポラスグループでもそう話す社員もいたというが、「監視ではないことをしっかり伝え、運転を分析して安全性を高めて事故を減らすためだと納得してもらえるように説明しました」と語る。
無事故プログラムDR®で撮影された動画を活用し、危険運転の原因と対策を話し合う
運転手への個別指導を中心とした日々の管理と共に、全社的な安全性向上のために開催しているのが安全運転管理者会議だ。グループ全体の取り組みとして毎月開かれる。この会議でも無事故プログラムDR®で撮影された動画を活用している。参会者たちは危険運転動画を見て検証し、原因と対策を話し合う。「共に考えることで、危険運転があったという情報だけが一方通行で伝わるのを避けている」と青池氏は説明する。
最近の会議で紹介されたケースはコンビニの駐車場で起こった。道路からコンビニの駐車場に入るとき、その駐車場に止めてあったトラックの陰から子どもが飛び出してきて、急ブレーキを踏んだケースだという。
「動画を確認すると、表示されている速度から駐車場の入るときの減速が不十分だとわかりました。コンビニは駐車も多く車の陰も多い。人や車の出入りが活発ですから、特に注意が必要な場所です」
安全運転管理者から、会議をもとにした安全強化対策の指示を受けたKYTトレーナーが現場での安全強化対策を展開する。
「ポラスグループではゼロの原則、先取りの原則、参加の原則の3原則を掲げて安全管理に取り組んでいます。ゼロの原則では建築現場もアフターフォローも全て含めて事故ゼロを目指す宣言です。先取りの原則は事故ゼロ実現のために、危険を事前に察知したら先手を打って対策すること。参加の原則は誰ひとり欠けることなく安全管理に参加しないとゼロの原則が実現できません。弊社の安全管理の基本方針がこの3原則になります」
運転の管理以外にも無事故プログラムDR®の運航経路を確認できる機能が役立っているという。
「適切なルートを通っているか、不審な移動がないかの検証にも利用しています。無事故プログラムDR®のおかげで、疑義を晴らせる社員もいます。就業管理にも役立っています」
ドライバーの意識改革へ
確かな手応え
無事故プログラムDR®の導入で重大な事故の減少が見られたポラスグループの次の課題は、ブロック塀やポールなどをこするような事故の減少が目標だ。「ドライバーの細かい意識改革は簡単ではない」と話す青池氏だが、すでにその対策を開始し手応えを感じはじめているという。
それは無事故プログラムDR®のオプションであるバック走行時アラーム機能と車内カメラを試験的に導入したからだ。バック走行時アラーム機能はバックギアを入れてから指定の時間未満でアクセルを踏むと「安全確認をしてください」と車内で注意喚起を行うと同時に管理者にはメールで知らせが入る。
「バック時にアラームがなるケースでは、車内カメラの映像から周囲への確認が不足していると判明しました。映像のおかげで目視確認の足りない部分を具体的に指導できます。導入当初は1台につき1日当たり平均11.5回のバックアラームが鳴っていましたが、2カ月ほどで6.8回にまで減りました。その効果に驚いています」
「リアルタイムで注意されるので、安全に対する意識への影響が大きい。意識づけには時間が経過してしまう指導よりも有効だと思います」特に「安全確認をしてください」と注意されることが意識づけに効果的だと青池氏は推察している。
危険運転の状況を静止画だけではなく動画で確認できるので、状況が把握しやすい
経路ポイントの選択で簡単に
運行動画の確認が可能に
青池氏が無事故プログラムDR®に寄せる期待は大きい。「今後は危険な運転だけではなく、安全な良い運転にもフォーカスしたい。その機能が欲しい。両者の比較で、危険挙動のドライバーには言葉による説明だけではなく、映像で具体的な改善ポイントを説明できる。良いドライバーも評価していることを確実に伝えられる」と話す。
10月26日に新サービスとして提供を開始した常時録画アップロード機能はこの要望に応えられる可能性がある。これまでは危険運転のときにのみリアルタイムで動画が送信された。それ以外の運行動画はカメラに搭載されたSDカードを直接抜き、データを確認する必要があった。しかし、新サービスでは運行経路の見たいポイントを選択するだけで、SDカードを直接抜くことなくデータが送信され、遠隔地で動画を確認できるようになった。比較したいドライバーの地図上のポイントを選択するだけでそれぞれの運転の様子が見られる。
この新機能に「すばらしい」と青池氏の言葉も弾む。そして「危険挙動を自動的にマッピングする機能があるとさらにいいですね。気をつける場所を見える化でき、ドライバーに注意を促せます」と要望を語った。ポラスグループでは今後、社有車の効率的な運用に向けて動き出す予定だ。各車の稼働状況を一目で把握できる無事故プログラムDR®をここでも活用する方針だ。
コロナ禍にあってもポラスグループは過去最高の受注件数を記録しているという。青池氏はこう話す。
「今後も日本ユニシスさんの協力を得て、さらに運転の安全性を向上させたいと思います。責任を持った一貫したサービスが当社の特徴です。運転でも事故ゼロをめざし、我々の責任を果たしていきたいと思います」