内閣府 特定分野におけるBCPの実態調査を実施

内閣府はこのほど、事業の中断が社会に大きな影響を与えると予想されるライフラインやインフラ事業者など特定分野における事業継続の実態調査の結果を公表した。それによると、指定公共機関や指定地方公共機関では、BCPが着実に浸透する一方で、医療施設や福祉施設ではBCPの策定状況が依然として10%以下と低く、他の特定分野に大きく遅れていることが明らかになった。本調査は平成20年度、22年度に続き3回目。調査対象は全体で5477法人で、計2123法人から回答を得た(回答率39%)

今回の調査では、事業継続の観点から国民の関心が高い医療法人、福祉法人を中心に調査を行った。

調査結果によると、BCPを「策定済み」と回答した割合は、指定公共機関では、前回調査の58.2%(平成22年度)から71.1%(平成24年度)に大きく増加。指定地方公共機関でも、25.0%から31.0%に増加した。

一方、特定分野における一般の法人については、平成22年度と調査母集団が異なるため、単純な比較ができないが、策定率は10.3%(平成24年度)にとどまった。

特定分野の内訳は、医療施設が7.1%、福祉施設が4.5%でいずれも10%に満たない。他の特定分野と比べると、電気業66.7%、通信業40.0%、ガス業40.5%、運輸施設提供業36.7%、鉄道業35.5%、放送業39.4%で、大幅に遅れている実態が浮き彫りになった。

BCP「策定中」までを含めると、指定公共機関は、80.0%(平成22年度)から88.9%(平成24年度)に増加。指定地方公共機関では、32.3%(平成22年度)から42.0%(平成24年度)に増加した。一般法人(特定分野)では、20.8%となっている。

 

写真を拡大BCPの策定状況
写真を拡大業種別策定状況

調査では、BCPの策定・推進にあたって不足している人材についても質問。指定公共機関では、「BIA(ビジネスインパクト分析)の実施、ボトルネックの分析などができる分析能力のある人材」、「事業継続計画(BCP)の教育・訓練を企画・実践できる教育能力のある人材」がともに30.6%。指定地方公共機関では、「事業継続計画(BCP)の教育・訓練を企画・実践できる教育能力のある人材」が41.3%で最も高くなっている。

一般の法人(特定分野)においても同分野の人材の不足が45.2%で最も高くなっており、いずれの組織形態でもBCPの教育者が不足している実態が明らかになっている。

また、指定公共機関、指定地方公共機関ともに「事業継続計画(BCP)の自己点検、監査を実施できる監査能力のある人材」(それぞれ22.0%から27.8%、24.2%から28.3%)が平成22年度調査と比較して増加していることも分かった。

このほか、事業継続に関する取組状況については、指定公共機関では、「活動及び計画では夜間・休日の業務時間外における被災対応も考慮している」、「被災時における対応体制を構築している(従業員・職員の安全確保、緊急連絡網、対応責任者の権限移譲順位、要員の参集方法など)」が100%で最も高く、指定地方公共機関と一般の法人(特定分野)では「被災時における対応体制を構築している(従業員・職員の安全確保、緊急連絡網、対応責任者の権限移譲順位、要員の参集方法など)」(それぞれ78.5%、77.4%)が最も高くなっている。