アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
いつもは夏の水遊びシーズン前にライフジャケットの記事を書く事にしているのですが、今年は出遅れてしまいました。やはり例年どおり、水辺の事故で命が失われていることが残念でなりません。例年、水難事故数は横ばいの現象が続いています。
いいかげん、人が亡くなるのを止められない副次的な対策の啓発に精を出すのはやめにして、学校でもライフジャケットが必須である旨を伝えませんか?
ちょっときつい書き方になってしまいましたけど、こどもの頃、長期休みの注意事項を書いたプリントがありませんでしたか?
「こどもだけで危ない場所に行ってはいけません」という注意書きです。そして、夏の危険な場所の代表例が「川や水辺」でしたよね。
過去形で書きましたが、これは、今でも現役です。
「こどもだけで川に行ってはいけません!」って学校のプリントに今でも書かれています。まとめ記事とか動画や報道でさえも、さも当然伝えなければならない事項のようにまとめられています。だから誰も異論を挟むことはない必須の注意事項の様に思われています。
でも、これ、全く効果がない注意事項なんですよ。もう、伝えなくていいのでは?と思います。なぜかというと、この統計をご覧ください。
事故件数で最も多いのは、こどものグループではありません。「大人だけのグループ」が全体の3分の1を占めます。そして、次に多いのが「家族連れ」です。
つまり、こどもだけで川や水辺に行ってはいけませんという注意事項を守って大人と一緒に行ったからって、全く安全ではないってことです。そのこどもが大人になって、大人同士で行っても安全ではありません。大人であることは何の安全にも寄与していません。
それなのに、効果ない注意事項を啓発し続ける理由は何でしょう?大人も子どもも効果のある身の守り方を知らないため、惰性で今まで述べられたことを繰り返しているのではないかと私は疑っています。
効果のある身の守り方、それは、川でライフジャケットを着ける、これが一番の対策です。詳しくは過去記事をどうぞ。
■川の水難事故に、泳ぎのうまいへたは全く関係ない!? 海のアドバイスは川では使えません!~川遊びのライフジャケットはシートベルトと同じくらい重要~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1917
ライフジャケットをつけていても危険な場所はありますが、9割が単純溺水と言われる川の事故では、9割は助かった可能性があったということです。
なのに、ライフジャケットのことを伝えずに、「こどもだけで川や水辺に行くこと」が最大の問題のように述べるのは、こどもに責任を転嫁しているずるい大人か、もしくは、無知な大人かのどちらかだと思っています。
学校でライフジャケットのことを教えない理由は何なのでしょう?お金がかかるものだから?誰でも手にいれられないから?そんな余計な事を考えるのも、川がどれだけ流れが複雑で動水圧がかかり、浮力の足りなくなる場所があるか、大人が全く理解していないからではないでしょうか?
「こどもだけで川に行くな」ではなく、「大人と一緒に行ってもライフジャケットを着用しない限り川では危険」と教えるべきです。
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