2023/12/18
事例から学ぶ
慢性的な人手不足、深刻な高齢化に悩む建設業。来年4月には、残業の上限が規制される2024年問題も控えている。そうした厳しい環境下でDXに積極的に取り組み、生産性を高めようとしているのが中堅ゼネコンの飛島建設(東京都港区、乘京正弘社長)だ。建築や土木の作業現場の管理で導入しはじめた新システムを、災害時の利用にまで拡大している。
❶Teamsを活用していてもさらなる効率アップが可能
Teamsを使って被害報告を効率化していても、情報整理や情報共有はまだ改善できる。
❷災害時に適材適所の対応
安否確認と被害状況報告をダッシュボード内に並べて表示することで、被害状況のあった現場で対応する従業員を素早く選べる。
❸災害対策本部の積極性を高める
被害情報を適切に可視化することで災害対策本部の積極性が増し、主体的に動く。
飛島建設のBCP
飛島建設が地震を対象としたBCPを策定したのは新潟県中越沖地震のあった2007年。最優先事項としている従業員と家族の命が無事だと確認できれば、協力業者の安否確認や取引先との連絡業務などにあたる。総務部部長を務める赤尾正晃氏は「災害時に事業の生命線となるのは人だ」と話す。
東日本大震災では、安否確認システムが十分機能しなかった。「人がいなければ現場の復旧自体がままならない。だからこそ安否確認が大切です。もちろん従業員だけでは現場は回らない。協力会社との連携も不可欠」と続ける。安否確認システムは東日本大震災の後に刷新したという。
同社ではこれまでにBCPの更新を重ねてきた。
例えば、本社が被災した際の代替本部設置、深夜に発災したときの災害対策本部招集マニュアルの作成、余震の際の安否確認の整理、帰宅困難者対策など。発災後に確認する物件を、作業中の現場だけでなく以前施工した建物にまで拡大した。
目標復旧時間は、発注者への連絡を3時間以内9月27日に実施したBCP計画にもとづく全社一斉防災訓練に設定。施工中の現場などで危険性の高い場所への立ち入りを禁止する二次被害防止策の実施は、勤務時間内なら6時間、深夜や休日なら12時間以内と定めた。
事業で重要な位置を占める国や自治体による公共工事の入札には、24時間以内に被災拠点に代わって別拠点から参加する。総務部の3名が他の業務と兼業しながら、BCPを担当している。
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