長周期地震動予測に用いられる技術などを話し合った

気象庁は13日、長周期地震動に関する情報検討会の「多様なニーズに対応する予測情報検討ワーキンググループ(WG)」第3回会合を開催した。前回会合で提案された長周期地震動の情報のカテゴリー(C)1~3の分類について、C2とC3の判断で用いられる予測技術について話し合われた。

気象庁は長周期地震動について階級3~4については緊急地震速報に含めて発信する方針を固め、2018年度以降に運用を開始する。長周期地震動は高層ビルごとの立地や階数で与える影響が異なることから、気象庁は階級情報を民間予報事業者に提供。民間事業者が精査したうえで、デベロッパーやビル管理者、テナントといった長周期地震動に関する情報を求める相手に提供できるようにする計画。

C1は階級情報など気象庁の発表情報。C2は気象庁が発表する緊急地震速報の震源要素を基に民間事業者などが予測する。C3は個別ビルといった対象地点やその地点周辺での観測波形を利用して揺れを予測する。数字が大きくなるほど情報は精緻になる。

この日示されたC2とC3の予測技術の案では、例えばC2で対象地点での指標を予測するのであれば震源要素と距離減衰式を用いる簡易な方式をとるが、ビルの各階層での指標を出すのであれば、震源要素に過去の観測結果や想定される震源で地震が発生した場合の揺れの数値解析などで計算したデータベース、個々の建築物や構造物に対して地震動が生じさせる揺れの強さを示す応答スペクトルを加えるなど、より細かい計算を行う。

C3であれば、観測波形に対象地点の応答スペクトルに構造物の応答スペクトルを掛け合わせ、各階層の指標を出す。また観測波形に対象地点の地震波動波形、主に高層建築物に用いられている構造計算方法である時刻歴応答解析を組み合わせ、揺れの継続時間を含めた各階層の予測波形を出すといった方法が紹介された。

WGでは2018年度も長周期地震動予測について検討を続け、2018年秋ごろに報告書のとりまとめを行う方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介