2017/09/20
防災・危機管理ニュース

東京都は19日、「今後の帰宅困難者対策に関する検討会議」の第1回会合を開催。学識経験者のほか国は内閣府、区市町村は豊島区と調布市から、さらに民間企業や団体からも委員が出席した。目標の3分の1程度にとどまっている帰宅困難者一時滞在施設の確保へ、滞在中の事故の免責やインセンティブについて話し合われた。
2011年の東日本大震災の際には帰宅困難者が首都圏全体で約515万人、都内で約352万人が出たと内閣府では推計。首都直下地震が起こった場合、都内だけで約517万人の帰宅困難者が出ると予測されている。
都では帰宅困難者の一時滞在施設について受け入れ92万人を目標としているが、7月1日現在918施設、受け入れ人数32万8374人にとどまっている。出席した委員からは「滞在者に事故があった際に施設管理者を免責しないと受け入れ施設は増えない」「仮に免責になっても、条件として同意書を書かせるのは、大量の帰宅困難者が出た場合に非現実的」といった施設管理者の免責に関する意見が多く出た。法改正を求める声に対し内閣府政策統括官(防災担当)付企画官(調査・企画担当)の高橋伸輔委員は「課題を認識し、(法改正について)内閣府も検討している」と述べ、都とも相談し解決へ動いている旨を示した。
また一時滞在施設の増加には区市町村との協定について、もっと施設へのサポートやインセンティブが必要との意見も多く、「避難所のように救援物資も送るべき」といった意見も出た。
都による年代別の意識調査では帰宅困難者対策条例について、全体で「知っている」は46.2%。若年層ほどこの割合が低く、20代では男性33.3%、女性29.7%にとどまっている。「問題意識が低いといざという時に共助のイメージがわかないのでは」といった意見のほか、広告も用いた啓発活動の重要性も委員から挙げられた。都では12月をめどに帰宅困難者対策についての報告書をとりまとめる予定。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/11
-
-
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
-
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方