堤外地は物流の拠点でもあるが、災害にあいやすい

国土交通省は18日、「港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策検討委員会」の第3回会合を開催。港湾堤外地での高潮対策ガイドラインについて中間とりまとめを行った。堤外地のみが被害を受ける可能性のある中小規模の高潮についても対策を行うほか、国や港湾・海岸管理者、関連民間企業、地方自治体などで高潮が来る前の事前対策や情報共有を行う。

堤防より陸側の堤内地と比べ、海側の堤外地は高潮に対するリスクが高い。その一方で、荷積みや荷下ろしが行われるなど産業や物流の拠点にもなっており、就労者も多い。このため、中間とりまとめでは高潮に対してハード・ソフト面での対策を立てる必要があるとした。

高潮、防風、高波を対象とし、提内地まで及ぶような大規模なものだけではなく、堤外地のみが被災する可能性のある中小規模の災害も想定する。災害時は堤外地にいる就労者は、原則全員が提内地に避難。業務のため残る場合のため屋内の安全な場所の確保が必要とした。

防災行動のフェーズについては1.台風情報・警報級の可能性2.強風注意報の発表3.高潮注意報の発表4.防風高潮警報もしくは防風・高潮特別警報の発表―の4つに区分。警報級の時間が切迫していなくても行動を早めに開始し、暴風が吹き始めるといった警報級の事象が起こる前には避難や資産の移動といった対応をすますように促す。

関係者間の情報共有については、防災情報ポータルサイトの設置や、LINEなどSNSアプリの活用により構成員全員がリアルタイムで共有できる体制作りも提案された。国交省は年内にガイドラインの最終とりまとめを行う方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介