主に海域観測について評価が行われた

文部科学省が中心となっている政府の地震調査研究推進本部は5月31日、「新総合基本施策レビューに関する小委員会」の第2回会合を開催。現行の地震調査研究の原則となっている「新総合基本施策」における地震予測やそれに関する調査観測について主に話し合われた。

現・総合基本施策である「新総合基本施策」は2009年に策定。2011年の東日本大震災を経て、2012年に改訂された。次期総合基本施策は2018年度に取りまとめ、2019年度から適用する。このため現・総合基本施策で取り組むべきとされた各分野について、実績の精査や今後の課題発見を行っている。

現・総合基本施策では基本目標としてM(マグニチュード)9クラスの超巨大地震の発生や海溝型地震の連動発生の可能性評価を含めた地震発生予測の精度向上を設定。この目標達成のため海域の地震観測網の整備や、プレート境界の応力等の把握のための地震・地殻変動観測といった海域の調査に注力する方針を盛り込んでいた。

この日は南海トラフ地震が懸念される紀伊半島沖に観測システム「DONET」設置などの現・基本施策下での実績を紹介。和歌山県で津波観測情報を該当市町の住民に緊急速報メールで配信するなどの体制を整えた。また緊急地震速報の迅速化や精度向上にも本部では一定の評価を行った。

一方で委員からは「『M9クラスの地震発生可能性を含めた予測』とあるが、これに対しどれだけのことができたかしっかり評価した方がいい」「各分野の目標と結果の相関図を用いてわかりやすくしてほしい」とさらなる詳細な分析を求める声が相次いだ。今年度中に現・総合政策のレビューを取りまとめ、次期総合基本施策策定に生かす方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介