東京防災を目にしながら委員の意見を聞く小池知事。右手前にあるのが液体ミルク

東京都は17日、「女性視点の防災ブック」編集・検討委員会の第1回会合を都庁で開催。小池百合子知事も出席した。委員長には公益財団法人・市民防災研究所の池上三喜子理事が就任。委員6人全員が女性。今年度の作成へ防災ブックに盛り込むべき内容のほか、小池知事が導入に意欲をみせる乳児用液体ミルクの備蓄・活用についても話し合われた。

女性視点の防災ブックについては委員から「取り組みやすさ、わかりやすさ、楽しさが重要」「とにかく冊子を手に取ってもらえるよう、表紙などを工夫すべき」「本を読まない人も多い。雑誌感覚で読める、ビジュアルに重きをおいたものがいい」といった意見が出され、わかりやすさや読みやすさを訴求した内容にするべきとの意見が多く出された。

また健康面における女性特有の問題や防犯に関することも話題に。「地域や人のつながりが大事」という意見の一方で、「関係が深まると近隣住民がストーカー化することもある。防災と防犯のバランスは難しい」といった意見もあった。

小池知事は「災害をどう防ぐか、いざという時のために何を備えるかといったことを女性の視点から考える」と述べた。さらに「例えば非常食であれば、がまんを強いるのではなく、より長持ちするおいしいもののほうがいいだろう。防災を突き詰めると普段使いにもつながるビジネスチャンスがある」とし、災害時に役立つアイディアや商品の重要性を語った。

小池知事が重視する液体ミルクについては食品衛生法に規定がないため、国内で製造や販売ができない。しかし2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では、フィンランドから提供された液体ミルクが活用されている。粉ミルクと違い水や湯が不要で乳児に与えられるといったメリットがある反面、値段が米国では粉ミルクの2倍弱するほか、賞味期限が6カ月、店頭寿命は2カ月しかない、乳児の好みに合わない可能性があるといったデメリットも会議では提示された。

小池知事は液体ミルクについて、「消費者がニーズを作り、声をあげることが国内生産にもつながる。フィンランドは人口が500万人程度だが、欧州全体に販路を持っている。日本は少子化でニーズが減るとの声もあるが、日本製を海外に発信することもできる」と国内生産の必要性を訴えた。

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公益財団法人 市民防災研究所 理事 池上 三喜子氏(委員長)
聖路加国際大学大学院 看護学研究科 准教授 五十嵐 ゆかり氏
株式会社 危機管理教育研究所 代表 国崎 信江氏
一般社団法人 防災ガール 代表理事 田中 美咲氏
特定非営利活動法人 ママプラグ 代表 冨川 万美氏
株式会社 マガジンハウス an・an編集部 中島 千恵氏

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(了)