高潮対応は警報発表前には全て終わらせるようマニュアルを作成する

国土交通省は港湾の堤防より海側にあたる堤外地の高潮に対する事前準備のマニュアルを策定する。21日、「港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策検討委員会」の第2回会合を開催。マニュアルの主な内容を提示した。警報が発表される前に国、港湾管理者、自治体防災部局、港湾物流企業といった当事者が全ての防災行動を実施することを基本とする。

堤防に守られている堤防より陸側の堤内地と比べ堤外地は高潮に対するリスクが高い一方で、荷積みや荷下ろしが行われるなど産業や物流の拠点にもなっている。高潮による被害があれば社会的にも経済的にも損失が大きいため、国交省は高潮が来る前に取るべき行動をマニュアルにまとめる。

マニュアル案では港湾・海岸管理者は大規模高潮時のタイムライン(事前防災行動計画)において、気象情報を得た後に堤外地で活動する人の避難や水門閉鎖、施設内浸水対策といった対応を暴風・高潮・波浪警報が出る前に完了させる。港湾物流企業であれば船舶や貨物の移動や従業員退避、自治体は港湾利用者や来訪者への避難呼びかけ、国は主に自治体や港湾管理者への情報提供をそれぞれ警報が出る前に終わらせる。

同委員会には東京湾、伊勢湾、大阪湾についてのワーキンググループ(WG)も設置。会合には学識経験者以外にも、東京都を始めとした港湾に関係する自治体からも委員が出席。3つの湾の想定リスクと対策といったWGの内容の報告も行われた。同委員会では今年中にマニュアルをとりまとめる。マニュアルは港湾管理者のBCP(事業継続計画)に反映させる。

(了)