2018/09/11
東京2020大会のリスク対策
乗客の上下移動に注意
2020年東京オリンピック・パラリンピックの会場が多く置かれる東京都の湾岸エリア。オリンピックは全42競技会場のうち14会場と中央区晴海に選手村、江東区有明の東京ビッグサイトにはメディアセンターが置かれる。このエリアの輸送で大きな役割を担うのが、東京臨海高速鉄道が運営するりんかい線だ。りんかい線は3日間で50万人近い参加者をビッグサイトに集める「コミックマーケット(以下コミケ)」で大人数が一度に集まるイベントの経験を積んでいる。
8月10~12日に開催されたコミケは主催者発表で約53万人。1日あたり来場者が15万~20万人ということになるが、「全体の6~7割、10万人程度はりんかい線を利用する」と言うのは東京臨海高速鉄道運輸部営業課長の岩成政和氏。ビッグサイトの最寄り駅である国際展示場駅の1日の平均利用者数は約3万人であることから、通常時の3倍以上の利用者となる。この期間は午前5時台を中心に1日10数本の臨時電車を運行。さらには駅員・警備員を通常時の約10倍の40~50人で迎える。駅員は残業を行うほか、本社勤務の職員も投入する。始発から対応のため、駅の宿泊設備以外に近隣ホテルにも泊まる。
コミケの特徴として、まず始発から満員になる。そして午前7~8時に来場のための国際展示場駅の降車ピークを迎える。一編成が満員だと約3000人が乗車する。「国際展示場駅は地下駅。地下駅で利用者が多い時に最も注意しないといけないのは、エスカレーターや階段だ」と岩成氏は語る。深い地下にホームがある駅では、上下の移動に欠かせないエスカレーターや階段がボトルネックになり、転倒の危険がある所となる。特に始発電車が到着すると、「始発ダッシュ」と俗に呼ばれる一刻も早く入場の待機列に並ぼうと走ろうとする参加者がいる。誘導員がエスカレーターをふさいで、走ることを防止するという。
東京2020大会のリスク対策の他の記事
- 五輪中のホテル不足、周辺エリアで吸収可能
- 五輪で通勤や物流の混雑対策、企業は必須
- 【講演録】国際的大規模イベントのセキュリティ対策
- りんかい線、コミケの経験五輪に生かす
- 五輪での熱中症をどう防ぐ
おすすめ記事
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方