大規模災害発生時の帰宅困難者対策は、東日本大震災時の東京都内における500万人を超える滞留者の大パニックを契機に全国で急速に手掛けられてきた。しかし今回の6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震で、この帰宅困難者対策は機能したのだろうか。
テレビの画面には、新淀川大橋を徒歩で渡る多くの人の群れが写し出されており、帰宅困難者サービスステーションを活用したという報告は少なかった。やはり、遠隔地に帰る人達の対応はできていないのだろうかと思わせるものがあった。
内閣府のガイドラインでは、企業や集客施設では、災害発生直後に従業員や利用者を急いで帰すのではなく、「留まる」「留まる人のための場所と支援」を優先することとなっている。今回の地震では一体どうであったのかを検証してみた。
京都の企業は概ね帰宅困難者対策意識が高かった
まず、京都府内の企業が非常に早く対策を実施していたことで、帰宅困難者対策への意識の高さが伺える。
例えば島津製作所は、20㎞以上の遠隔地の従業員に会議室を提供して、水と毛布を配布したことで、20数人の従業員が一泊することが出来た。また、村田製作所と半導体メーカーのロームは、社員に早期退社を指示すると共に、残り社員には自社の宿泊施設と本社屋内に受け入れた。
同じく半導体メーカーのSCREENホールディングは、近くのホテルを手配して社員に提供した。フォークリフトの三菱ロジックネクスは、社内食堂に弁当と毛布を手配し、従業員に配布した。
長岡京市と大山崎町は住民のための避難所とは別に、交通機関の運休に対して庁舎内に一時避難所を提供。結果として約200人が利用した。
もちろん多くの避難所では、地域の避難者と同様に帰宅困難者の受け入れも行っている。さらに、JR西日本は、湖西線の駅で停止した乗客に消費期限切れの備蓄飲料水を配った。京都府の企業や行政の対応は早かったことがわかる。
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