液体ミルクを手に説明を行う小池都知事(2017年5月17日、東京都新宿区の都庁にて)

厚生労働省は12日、「薬事・食品衛生審議会 器具容器包装・乳肉水産食品合同部会」を開催。食品衛生法にもとづく厚労省令「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」に乳児用液体ミルクの製造や販売基準を追加した改正案が有識者で了承された。今後食品安全委員会で食品健康影響評価を受けたのち、問題がなければ改正後に施行され、液体ミルクの国内製造が可能となる。今後各乳製品メーカーが商品開発に取りかかる見込み。

今回了承された規格基準案によると、成分規格・製造基準・保存基準・容器包装ついては乳飲料と同等の基準を採用した。一方、粉ミルクと同様、使用する乳やそれ以外の添加物の成分や製造方法などについては、各メーカーが厚生労働大臣の安全性審査を受ける必要がある。

液体ミルクは粉ミルクと違い湯が不要で容器から直接飲めることから、災害時も与えやすいメリットがある。現在でも輸入は可能で、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震ではフィンランドから支援物資として提供され、その有用性が知られるようになった。ただ価格が粉ミルクの倍以上で賞味期限が半年程度であること、少子化が進む中でメーカーが新たな投資をして採算がとれるのかといった問題があり、今後国内メーカーの商品化の動向が注目される。

行政では、東京都の小池百合子知事がかねてから液体ミルクの国内製造・販売を要望しており、国に基準作りを要望しつつ、メーカーが参入しやすいよう、首都圏の都県と政令指定都市で構成する九都県市で液体ミルクの備蓄を行うことで市場を作るよう、他自治体に呼びかけてきた経緯がある。東京都福祉保健局では「ほ乳びんや湯が不要なことから災害時の有用性、外出時などの育児の負担減の視点から期待できる。国の動向を見守りたい」としている。

■乳幼児用液体ミルクの規格基準案について、厚労省がまとめた資料はこちら
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000197331.pdf

(了)

リスク対策.com:峰田 慎二