地震調査研究推進本部政策委員会・新総合基本政策レビューに関する小委員会第9回会合

文部科学省を中心とした政府の地震調査研究推進本部(以下・地震本部)は15日、政策委員会の「新総合政策基本施策レビューに関する小委員会」(以下、レビュー小委員会)の第9回会合を開催。現行の地震調査研究の原則となっている「新総合基本施策」における実績や課題をまとめた報告書案の最終とりまとめを行った。この報告書をもとに2018年度中に次期総合基本施策を策定し、2019年度から施行する。

現行の総合基本施策は2009年に策定。2011年の東日本大震災を経て2012年4月に改訂され、主に海域での津波観測に注力する旨が付加された。現行の基本政策が2018年度末で終了することを踏まえ、次の10年間に取り組むべき今後の課題を整理するため、2016年3月からレビュー小委員会を開催している。

最終回となった今回は報告書案の最終とりまとめがおこなわれた。報告書案では、残り1年あまりとなった現行基本政策の実績として「海域の地震津波観測網の拡充」「海溝型地震の物理モデル構築・長期評価」「緊急地震速報の高度化」「陸海域の強震観測データの公表」などが挙げられた。

一方今後の課題として、地震研究に携わる多様な研究者と成果を利用する産官学の関係者とをつなげるオープンイノベーションの役割を果たすこと、従来の地震の自然現象としてのハザード評価にとどまらず、人命や社会インフラへに与える影響量を推定するリスク評価の実践を検討すること、内閣府など他省庁や防災対策を行っている組織・個人との連携を強化することなどが挙がった。

このほか調査研究上の課題としても、高知県沖から日向灘にかけての南海トラフの西側および日本海、南西諸島における海底の地震・津波観測網の拡充、海域および陸域の地下構造モデルの高度化、活断層情報の精度向上・高度化など具体的な研究課題が挙げれられた。

地震本部では今回の報告書を生かし、次期総合基本施策を2018年度中にとりまとめ、2019~28年度まで適用する。

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(了)

リスク対策.com:峰田 慎二