2018/02/16
防災・危機管理ニュース

東京都は15日、第8回「地震に関する地域危険度測定調査」を発表した。東京都震災対策条例に基づき1975年から概ね5年に1度発表。都内市街化区域内5177町丁目を建物倒壊、火災、総合の3つの危険度を5段階でランク付けを実施。総合危険度は環状7号線沿いの中野区や杉並区などで高くなっている。
ランク付けは5段階の相対評価で実施。数字が大きいほど危険度は高くなる。最も危険な5は85町丁目、4は287町丁目、3は820町丁目、2は1648町丁目、1は2337町丁目となっている。
建物倒壊危険度は地盤特性と建物量、建物特性から、haあたりの建物全壊棟数となる建物倒壊危険量を算出して判断。地盤は液状化など、建物特性は構造や建てられた年代を調べる。東部の荒川・隅田川沿いの下町地域の危険度が高くなっている。火災危険度は出火の危険性と延焼の危険性から、地震によるhaあたりの建物全焼数となる火災危険量を算出する。出火の危険性は石油ストーブなど火気器具の保有数や世帯数、延焼の危険性は建物の棟数密度や構造、広い公園や道路の量から判断。東京消防庁のデータを参考にしている。環状7号線の内側やJR中央線沿線の区部の危険性が高い。
総合危険度は倒壊と火災の危険量のほか、生活道路の整備状況などから避難や消火、救助といった災害時の活動困難度を合わせて判断。環状7号線沿いの中野区や杉並区、大田区、品川区南西部などは危険度が高い。荒川・隅田川沿いの下町地域にも危険度が高い地域は多いが、台東区や墨田区は道路整備が進んだ影響で低くなっている。
都・都市整備局によると都や区市町村の耐震化や不燃化の推進政策の効果もあり、以前よりも平均して建物倒壊危険量は約2割、火災危険量は約4割低下しているという。都・都市整備局ではホームページに危険度ランクなどデータを掲載。4月から調査報告書の販売も行う予定。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/02/15/04.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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