東京都の小池知事(右から2人目)は液体ミルク生産をメーカーがしやすい環境整備へ備蓄を呼びかけた

首都圏の都県と政令指定都市である東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、千葉市、さいたま市、川崎市、横浜市、相模原市は13日、第72回「九都県市首脳会議」を相模原市の小田急ホテルセンチュリー相模大野で開催。それぞれの首長が出席した。国への要望として東京都の小池百合子知事は乳児用液体ミルクの規定整備を提案し、了承された。国による規格整備以外に、地方自治体による備蓄で液体ミルクの市場創造を目指す。

液体ミルクは粉ミルクと違い湯が不要で容器から直接飲めることから、災害時も与えやすいメリットがある。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震で、海外から支援物資として提供され利用されている。現状では食品衛生法に規定がなく、国内で製造や販売ができないこと、価格が粉ミルクの倍以上で賞味期限が半年程度であること、少子化が進む中でメーカーが新たな投資をして採算がとれるのかといった問題がある。

厚生労働省では液体ミルクについて事業者団体からデータ提出があり次第、規格基準案の作成や審議会部会で手続きを行う方針としている。小池知事は「厚労省も手を挙げる企業があれば基準を作る姿勢は見せているが、(液体ミルク生産で採算がとれるのかという)企業の経営の問題もある。私たちが動くことで事業者団体にも働きかけられる」とし、国に基準作りを要望しつつ、メーカーが参入しやすいよう、九都県市で液体ミルクの備蓄を行うことで市場を作るよう他自治体に呼びかけた。

会議後、小池知事は備蓄による液体ミルク市場創造について「国会議員時代から導入を目指す母親の団体を後押しし、厚労省や民間へのヒアリングも重ねてきた。災害はいつ起こるかわからない。オールジャパンの取り組みとしたい」と全国的な広がりとすることに意欲をみせた。

防災関連では千葉県から災害対策強化の一環として、圏央道や外環道など早期の高速道路整備の国への要望も提案され了承された。また2018年に川崎市で九都県市合同防災訓練を実施すること、同年1月11日に合同図上訓練を行うことも決定した。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介