山口共同代表(左奥)は法改正も含め災害時のICT活用を進めるべきだとした

インターネットや人工知能(AI)の防災・減災への活用を目指す「電脳防災コンソーシアム」の第1回会合が8日、東京・千代田区の国立情報学研究所で開催。情報共有の深化などを進め、災害対策基本法改正も目指す。2018年4月をめどに政策提言の中間とりまとめを行う計画としている。

共同代表に慶応義塾大学環境情報学部の山口真吾准教授のほか、防災科学技術研究所の臼田裕一郎・総合防災センター長、LINEの江口清貴・公共政策室長、ヤフーの竹内美尋・メディアカンパニーライフライン事業本部災害サービスマネージャー、情報通信研究機構の鳥澤健太郎・データ駆動知能システム研究センター長が就任。NTTドコモやソフトバンク、グーグルなど通信・IT大手のほかNHK、フジテレビ、スカパーJSATといった放送局、東京都や豊島区といった地方自治体などの関係者が委員となっている。

慶大の山口氏は「これまでの災害情報は行政からの縦割りで、音声によるものが中心だった」と説明。今後は横の連携を進め、最新の情報システムを活用し、被災者や避難所の支援を進める。AIによる緊急通報の緊急度に応じた仕分け、情報活用を盛り込んだ災害対策基本法の改正などを目指す。

参加者から事例の報告も行われた。ヤフーの竹内氏はスマートフォンアプリの「Yahoo!防災速報」や、異業種と提携し災害時にワンストップで支援物資などを提供する緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」などの紹介を行った。LINEの江口氏は同社のアプリが2011年の東日本大震災をきっかけに生まれたことや、2016年の熊本地震の際に熊本市が自発的にLINEグループを作って職員間での連絡に利用したことを報告した。弁護士の岡本正氏は東日本大震災後に災害相談のデータベース化が行われていることを紹介。同震災だけで約4万件の分析結果がある。事例が集まると新たな災害が起こった際に、どういった相談が多くなるかが想像できるなどの利点を述べた。

■関連記事
「ネットやAIの防災活用へコンソーシアム」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4066

「ヤフーなど17社、災害救援アライアンス」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3607

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介