2020/06/22
講演録
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってもたらされる新たな日常「ニューノーマル」へ向けた働き方のシフトが加速してる。こうした動きに対し、企業は今後、どのように危機管理やBCPを見直していけばいいのか。リスク対策.comでは6月2日、「コロナ後のニューノーマルにおけるBCP」をテーマにウェビナーを開催し、ニュートン・コンサルティング株式会社取締役副社長の勝俣良介氏が講演した。東京商工リサーチ 情報本部情報部部長の松永伸也氏が講演した。2回に分けて、本ウェビナーの講演内容を紹介する。
①ニューノーマルの動きと、BCP見直しのポイント
ニュートン・コンサルティング株式会社
取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣良介氏
新型コロナウイルス感染症のBCPシナリオとして、これからどんな問題が考えられるだろうか。キャッシュフローの心配や、在宅勤務に関する悩みや不安が聞こえてくる。BCPがうまく活用できていないという声もよく聞く。新型インフルエンザ用にBCPを用意していたが、うまく合わずに苦労している企業もある。こうした問題を、「今」「短期的」「中長期的」という時間軸で整理してみたい。
まず「今」というところでは、予防が大きなポイントになる。Withコロナの状態で、感染しないで働く環境をどう作るか。この1点に尽きる。手洗い、うがい、消毒液、レイアウト変更のほか、人の物理的な交流機会を減らすため、大きな会議室の活用や、大勢での集合会議の禁止も見られる。
通勤リスクによる感染リスク低減も大きなテーマになる。通勤の機会を減らす目的で、2日出社2日休みにする方法や、車や自転車での通勤を許可するところも増えてきている。現場の改善では、ビニールの間仕切りや動線変更、同じ役割・機能を担う者を一緒に行動させない2チーム編成などが見られる。感染者の検知能力を上げるという点では、会社での出退勤管理をはじめ、店舗での検温や入場制限、出入り口の管理などがある。そのほか、教育の実施やリスクアセスメントなど、諸々の施設内での感染予防策が講じられている。
環境は個々で異なるため、専門家が言ったことを完全に正解としてコピーして導入してもダメだ。自組織の環境を見極めた上で、固有の対策が必要になる。まずは施設などの物理的な環境のリスクアセスメントを行うことが非常に重要になる。当然、自社で気づかないこともあるので、他社の先進事例も常にウォッチして取り入れることが社会全体での免疫力の底上げになるかと思う。
講演録の他の記事
おすすめ記事
-
情報セキュリティーは個人のリスク目線では通用しない
学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が新入社員に多くいる昨今ですが、当然、個人と会社ではセキュリティーの重心が違います。また、人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限りません。新年度にあたり、情報セキュリティーのルールは特に徹底したいところです。
2024/05/10
-
-
サイバーインシデント対応の基本知識と準備
本勉強会では、一般的な情報セキュリティインシデントとサイバーインシデントの違いや、その初動対応について事前に準備すべきことと合わせて、自社で手軽に訓練・演習を実施するためのポイントを解説します。2024年5月8日開催。
2024/05/09
-
-
炎上の原因はSNS上の振る舞いのみにあらず
新年度から仲間に加わった新入社員は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、友人とSNS で交流するのがあたり前の世代です。が、学生時代と違い、社会人になれば取り巻く環境が変わり、自身の立場も変わる。うかつな投稿が「炎上」につながるケースは少なくありません。新人研修のテーマにSNSリスクを組み込むなどして教育を徹底したいところです。
2024/05/08
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月7日配信アーカイブ】
【5月7日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:令和5年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査
2024/05/07
-
-
-
家庭の防災は企業BCPとつながっている
昨今は社員の自主防災力向上に努めている企業も多いでしょう。この時期は災害時のルール周知に余念がないと思いますが、ポイントとして提案したいのが、家庭の防災と企業BCP のつながりをしっかり伝えること。「家庭と会社は別」と考えがちですが、家庭の防災力を上げないと企業の事業継続力も上がりません。メッセージを出すよいタイミングです。
2024/05/02
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方