2017/07/10
防災・危機管理ニュース
文部科学省を中心とした政府の地震調査研究推進本部は7日、政策委員会の第64回総合部会を開催した。2016年熊本地震のアンケート調査の結果が報告され、回答者の半数が同年4月14日の前震で、4分の3が同16日の本震で避難したことがわかった。また前震発生後の余震確率情報で、大きな余震がもう起きないと思った人が3割弱いた。回答は熊本市東区と南区が754件、その他13市町村(以下郡市)が2520件。
避難行動については熊本市が前震で56.1%、本震で74.8%が避難したと回答。郡市もそれぞれ50.4%、75.4%で、いずれも前震で半数、4分の3が本震で避難した。避難した場所は「車の中」が最多で熊本市が前震53.7%、本震60.5%、郡市が59.4%、68.1%。次いで「空き地などの屋外」で熊本市が前震30.0%、本震31.6%、郡市が30.5%、32.1%。屋内の選択肢はいずれも10%以下で、ほぼ車の中か屋外となっている。
地震発生時に避難した理由は「余震が恐かったから」が熊本市で前震81.6%、本震81.0%、郡市が80.6%、79.9%。「建物の安全性に不安があったから」が熊本市57.2%、61.3%、郡市は55.2%、59.5%。建物の安全性以外に「電気・ガス・水道などのライフラインが止まっていたから」が熊本市で26.7%、42.9%、郡市で25.4%、35.2%、「建物に被害があったから」が熊本市で23.4%、28.5%、郡市で23.0%、28.8%と本震で建物やライフラインにダメージがあったことが避難理由になっている。
余震発生の可能性に関する意識では「当分はもう起きないだろう」と思った人が前震では熊本市で30.6%、郡市で32.8%だったが、本震では12.7%、12.9%に減少。「今日・明日にでも起こるかもしれない」は前震では熊本市で24.9%、郡市で24.8%だったが本震では51.3%、50.1%と大幅に上昇している。
また4月15日の情報(気象庁発表で震度6弱以上の発生確率が3日間で20%、5強以上が40%)を聞いた後では、「今後、大きな余震はもう起きないだろうと思った」は熊本市で26.3%、郡市で29.5%だった。ところが本震発生後の同20日に余震発生確率発表を取りやめた後、熊本市で3.6%、郡市で4.8%に大幅減。逆に「今後、余震がいつ起こるかわからないと思った」は4月15日が熊本市で25.2%、郡市で28.2%だったのが42.0%、42.1%と大幅に上昇している。
余震に関する情報を聞いた後の行動では「車に避難した」が4月15日の情報(気象庁発表で震度6弱以上の発生確率が3日間で20%、5強以上が40%)を聞いた後では熊本市30.0%、郡市32.5%に対し同20日には34.0%、36.8%に増加。逆に「自宅にい続けた」が4月15日は熊本市36.3%、郡市42.4%に対し同20日には30.8%、35.2%に減少している。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/17
-
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/12/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方