熊本地震の余震情報と避難に関するアンケートを行った

文部科学省を中心とした政府の地震調査研究推進本部は7日、政策委員会の第64回総合部会を開催した。2016年熊本地震のアンケート調査の結果が報告され、回答者の半数が同年4月14日の前震で、4分の3が同16日の本震で避難したことがわかった。また前震発生後の余震確率情報で、大きな余震がもう起きないと思った人が3割弱いた。回答は熊本市東区と南区が754件、その他13市町村(以下郡市)が2520件。

避難行動については熊本市が前震で56.1%、本震で74.8%が避難したと回答。郡市もそれぞれ50.4%、75.4%で、いずれも前震で半数、4分の3が本震で避難した。避難した場所は「車の中」が最多で熊本市が前震53.7%、本震60.5%、郡市が59.4%、68.1%。次いで「空き地などの屋外」で熊本市が前震30.0%、本震31.6%、郡市が30.5%、32.1%。屋内の選択肢はいずれも10%以下で、ほぼ車の中か屋外となっている。

地震発生時に避難した理由は「余震が恐かったから」が熊本市で前震81.6%、本震81.0%、郡市が80.6%、79.9%。「建物の安全性に不安があったから」が熊本市57.2%、61.3%、郡市は55.2%、59.5%。建物の安全性以外に「電気・ガス・水道などのライフラインが止まっていたから」が熊本市で26.7%、42.9%、郡市で25.4%、35.2%、「建物に被害があったから」が熊本市で23.4%、28.5%、郡市で23.0%、28.8%と本震で建物やライフラインにダメージがあったことが避難理由になっている。

余震発生の可能性に関する意識では「当分はもう起きないだろう」と思った人が前震では熊本市で30.6%、郡市で32.8%だったが、本震では12.7%、12.9%に減少。「今日・明日にでも起こるかもしれない」は前震では熊本市で24.9%、郡市で24.8%だったが本震では51.3%、50.1%と大幅に上昇している。

また4月15日の情報(気象庁発表で震度6弱以上の発生確率が3日間で20%、5強以上が40%)を聞いた後では、「今後、大きな余震はもう起きないだろうと思った」は熊本市で26.3%、郡市で29.5%だった。ところが本震発生後の同20日に余震発生確率発表を取りやめた後、熊本市で3.6%、郡市で4.8%に大幅減。逆に「今後、余震がいつ起こるかわからないと思った」は4月15日が熊本市で25.2%、郡市で28.2%だったのが42.0%、42.1%と大幅に上昇している。

余震に関する情報を聞いた後の行動では「車に避難した」が4月15日の情報(気象庁発表で震度6弱以上の発生確率が3日間で20%、5強以上が40%)を聞いた後では熊本市30.0%、郡市32.5%に対し同20日には34.0%、36.8%に増加。逆に「自宅にい続けた」が4月15日は熊本市36.3%、郡市42.4%に対し同20日には30.8%、35.2%に減少している。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介