現場に到着したら、「もし私の声が聞こえたら、こちらまで来てください!」と声で知らせる(画像出典:wikipedia 東日本大震災被災地で活動する川口市消防局の特別救助隊)

※前編はこちらから 第7章 市民レベルの捜索・救助活動(前編)

■捜索・活動要領

さあ、いよいよ次の手順に従って捜索(検索)活動を始めてみよう。

1) まず現場(建物内外)に到着したら、次のように要救助者へ声で知らせよう。「もし私の声が聞こえたら、こちらまで来てください!」もし誰かが来たら、その人からできるだけ詳細に現場の様子を聞きだすのだ。「他に誰かいるのか?」「どこにいるのか?」など。そして現場の状況に応じてその場で留まらせるか、避難させるかの指示を出す。その際は指示を受ける人の心理状態や様子をよく観察して、簡潔に短く分かりやすい指示を出すように心がけたい。

2)機能的な捜索パターンで行う。例えば多層階の建物であれば下から上または上から下、各階のフロアーでは右壁周り、または左壁周りなど。1つの部屋には6面あることを忘れてはならない。床面、天井面、壁が4面だ。このように、捜索では漏れがあってはならないということを肝に銘じよう(図2)。

 

3)止まって耳を澄ませる。動きながらかすかな音を聞くのは大変難しい。立ち止まり、耳を澄ませて、要救助者の叩く音、声、気配を救助者の五感を働かせて探すのである。現場での騒音が激しい場合などは、周りの作業者の協力を得て、全ての重機や車輌のエンジン等を止めてサイレント・タイムを設ける場合もある。

4)三角法は要救助者の位置がはっきりしない場合用いる手法である。これは3人の救助者が要救助者の音を頼りに3方向からライトで照らしながら検索する手法で、フラッシュライトの光が要救助者の障害物となる物から影ができるのを防ぐ手法だ(図3)。

 

5)救出した要救助者、まだ救出されていない要救助者の記録をしっかりと報告しよう。特に公設の救助隊が現場へ到着した際はこの内容をきちんと伝えることが重要である。

■屋外捜索活動 

捜索活動は建物内だけに限った話ではない。土砂災害、津波災害、台風、雪害等のシチュエーションでは屋外で捜索活動をしなければならないケースが多く発生する。捜索活動に参加するものは、現場指揮官の作戦をよく理解し、どのような目的と戦術で活動を成功させればよいのかチームの一員として自覚して欲しい。屋外の捜索活動には「グリッド方式」「ライン方式」「四分円方式」「ゾーン方式」「スパイラル方式」などの活動要領があるが、ここではよく使われるグリッド方式の解説をする。