日本政策投資銀行(DBJ)は1日、「地域の災害レジリエンス強化に向けて~熊本地震における企業の防災、事業継続に関する実態調査~」と題した調査レポートを公表した。2016年に発生した熊本地震での防災やBCP(事業継続計画)などについて、九州7県に事業所を置く自動車・半導体関連事業者にアンケートを行い、343社が回答。BCPの策定率は25%にとどまっていたことがわかった。
災害が起こる前の対策レベルについて、49%が「特になし」で、「防災計画策定(BCP未策定)」が26%。残りは「BCP策定」が15%、「BCP策定に加え、訓練等を通じ運用改善」が6%、「BCP策定、運用改善に加え、バックアップ施設整備等を実施済み」が4%。BCP策定企業は計25%で、さらにBCPを実践している企業は10%しかないことが明らかになった。
対策レベルを従業員数別に見てみると、50人以下では75%が「特になし」。一方で1001人以上だと「特になし」は4%にとどまり、「BCP策定」が27%、「BCP策定に加え、訓練等を通じ運用改善」が23%、「BCP策定、運用改善に加え、バックアップ施設整備等を実施済み」が19%と、大企業ほど対策が進んでいる。
BCM(事業継続マネジメント)・BCPへの全体評価について、防災計画のみ策定企業では「有効に機能した」が9%、「一部見直しが必要な部分があるが、概ね有効に機能した」が31%にとどまる。BCP策定企業はそれぞれ19%、43%、BCP実践企業は28%、44%で、策定と実践の有効性を示す結果となった。
DBJは今回の調査をふまえて、実践的な訓練や演習を行い、継続的にBCMを浸透させ改善を図っていくことのほか、企業間や業界内における連携・協定に関するコミュニケーションなどを今後の重要な点として挙げた。
(了)
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