2026/01/22
防災・危機管理ニュース
現場と経営をつなぐ法務の役割が最重要
法務・コンプライアンス業務ソリューションのレクシスネクシス・ジャパン(本社:東京都中央区、パスカル ロズィエ社長)は、東京都内の本社で「2025年法務動向総括と2026年のコンプライアンス市場予測」をテーマにラウンドテーブル形式のディスカッションを行った。
うちトークセッションでは、同社コンテンツソリューション責任者の漆崎貴之氏とプロアクト法律事務所代表パートナー弁護士・公認不正検査士の竹内朗氏が対談。2025年の企業不祥事を振り返り問題点を整理・検証するとともに、2026年に企業法務が注視すべきリスク、担うべき役割などを議論した。
2025年の不祥事から読むコンプライアンスの課題
竹内氏は2025年の大きな不祥事を「会計不正」「金融」「情報セキュリティ」「競争法」「ビジネスと人権」「ガバナンス」の6テーマで整理。それぞれの要因を分析し、法務・コンプライアンスの領域に投げかけられた問題を解説した。
「会計不正」では新規株式公開前からの粉飾が発覚したAI企業オルツの例をあげ、数年前に同じく粉飾決算で上場廃止、破産した半導体装置製造エフオーアイとの酷似性を指摘。「エフオーアイ事件で監査法人や主管理証券会社は痛い思いをしたが、その再来といえる事件が起き、資本市場を守る立場として経験から何を学んだかが問われている」と話した。
証券取引所が特別注意銘柄に指定したモーター大手ニデックについては、会社の決算数字に監査法人の意見が出ない状態が続くのは稀有な事案と説明。「最終的な原因は第三者委員会の調査報告書で解明されるだろうが、上場企業として責任ある決算を出せない状態は、資本市場に対する責任として非常に重い」と述べた。
「金融」では、フィッシングによる証券口座乗っ取り、大手損保のカルテルに対する行政処分、生保の個人情報不正取得などをピックアップ。なかでも特に注視する事案として10億円近い使途不明金が反社会勢力に流れていた福島県のいわき信用組合の不正をあげた。
2度の第三者調査を行い、2度の行政処分を受けた事案。最初の調査で使途不明金が明るみに出たが役職員が非協力的で、経営陣を刷新しての再度の調査で反社に流れていたことが判明したという。「巨額の不正に加え調査妨害、金融庁当局がどう動くかが注目される。こうした不正の構造がほかの信組にもないのかが焦点」とした。
三菱UFJ銀行の貸金庫の窃盗も問題性が大きいとし、顧客の申告を受けてから不正の認知までに4年半かかったことを強調。「日本を代表するメガバンクでこれだけの規模の不正に4年半も気づかないことが問題。再発防止策もそこに力点が置かれている」と語った。
「情報セキュリティ」では、アサヒグループホールディングスとアスクルのランサムウェア被害を取り上げ、攻撃を100%防ぎ切れないことを前提としたダメージの最小化が課題と説明。また、今後サイバー攻撃が激化するなかで「犯罪者に身代金を支払う経営判断が合法か否かは議論になるところ」とした。
「競争法」に関しては、代表的な事案として三菱ふそうトラック・バスが下請企業に金型無償保管を強いた問題に言及。「サプライチェーンの強靱化や中小企業の賃上げが課題となっている状況下、昔からの商慣習がいまだ続いていることに当局は強い問題意識を持っている」と話した。
「ビジネスと人権」では、フジテレビと日本テレビの問題について「有力な番組出演者にハラスメント行為やコンプライアンス違反があったとき、企業としてどうスタッフを守るのかが問われた。その意味ではカスタマーハラスメントの類型。かつ、人的資本経営に直結する事案」と分析した。
最後の「ガバナンス」では、サントリーの新浪剛史会長が違法薬物の捜査に絡んで辞任した事案を紹介。会長の去就を決めるプロセスで取締役会が情報を集め、会議に諮ったうえで意思決定したことを取り上げ「ガバナンスが効いたのが一つのポイント」とした。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/31
-
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
-
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
-
-
-
-
-
-
-
火事・水害の被災設備に復旧という選択肢
災害復旧専門サービスのベルフォアジャパンは昨年、独自営業による顧客開拓に乗り出しました。これまでは共同出資者の東京海上日動火災保険を窓口としてきましたが、体制変更を機に直接の市場アプローチを開始。BCPの実効性を確保する手段として自社のサービスを訴求する考えです。代表取締役社長の加藤道久氏に今後の市場戦略を聞きました。
2026/03/18







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方