2023年の刑法犯認知件数が前年比17.0%増の70万3351件となり、2年連続で前年を上回ったことが8日、警察庁の犯罪情勢統計で分かった。
 22年は新型コロナウイルス対策の行動制限緩和が影響し、20年ぶりの増加に転じた。2年連続増に警察庁の担当者は、「治安が悪化したという評価はまだできない。今後の動向を注視したい」と話した。
 殺人や性犯罪などの「重要犯罪」は1万2372件で、29.8%増加した。闇バイトで実行犯を集める実態が明らかになった「強盗」は18.6%増の1361件。昨年7月に施行された改正刑法で構成要件の一部が変更された「不同意性交」は63.8%と大幅に増え、2711件だった。「略取誘拐・人身売買」も34.9%増の526件で、通話・通信アプリを悪用した手口が目立ったという。
 サイバー犯罪では、インターネットバンキングを使った不正送金事件の被害額が約5.6倍の約86億円、発生件数が約4.8倍の5528件でいずれも過去最多となった。フィッシングサイトに誘導する手口が多く確認された。
 虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した人数は6.1%増の12万2806人、配偶者などパートナーからの暴力(DV)の相談件数は4.9%増の8万8619件で、いずれも過去最多だった。 

(ニュース提供元:時事通信社)